「奥の院(岩船山)」
月光坂(がつこうさか)と呼ばれる急斜面を550メートルほど登ると、長さ200メートルに及ぶ巨大な岩盤がむき出しの「岩船山」と呼ばれる岩尾根にでる。船の舳先(へさき)にあたる北側に「岩船観音像」が立っている。
「奥の院の岩船観音像」
岩船観音像は、人々が救いを求めれば様々に姿を変え、手を差し伸べる「聖観世音菩薩」である。蓮華の蕾(つぼみ)を持った観音像で、本堂納経所の横の遥拝所(足型)から遥拝できる。
「奥の院の大日如来像」
長さ200メートルに及ぶ巨大な岩盤がむき出しの「岩船山」と呼ばれる岩尾根の南側に「大日如来像」が祀られている。鎖を頼りに垂直に近い崖をよじ登らなければならず、登った先の大日如来像の前は狭いので要注意である。
「十三仏の岩窟」
観音堂下から洞門をくぐり、奇岩が立ちはだかって、日も差さない山道を登り、岩場を削った石段を鎖の手すりにつかまりながら登ると十三体の石仏が並んでいる。ここは、観音堂と奥の院の中間点でもある。
「鐘楼門(しょうろうもん)」
秩父札所では唯一の鐘楼門で、二階部分に梵鐘を下げ、門の左右には金剛力(仁王)像を安置している。つまり、仁王門と鐘楼を兼ねた門である。宝永7年(1710年)に建立され、「般若山」の扁額が掲げられている。
「観音堂」
観音堂は崖の中腹に建っている。総欅(けやき)材の三間四方の懸崖造(けんがいづくり=舞台造)」で、宝永4年(1707年)の建立である。行基菩薩作と伝えられる本尊「聖観世音菩薩」が安置されている。観音堂の背後には岩窟があり、子授け地蔵を祀った小堂がある。
「観音堂に掲げられた扁額」
本堂には、通称「お船観音」という、宝冠の上に笠をかぶり、櫂(かい)を持って船をこいでいる珍しい観音像が祀られている。これは観世音菩薩が船に乗って出現されたという縁起にもとづく立像で、このことから、この寺のことを「お船観音」と呼ぶ様になったという。扁額には、この「お船観音」と「御詠歌」が描かれている。
「本堂と納経所」
本堂には、薬師如来のほか、札所本尊の聖観世音菩薩の前立観音像が祀られている。本堂正面には「般若(はんにゃ)」の面が掲げられているが、山号が「般若山」だからである。納経所は本堂正面右横にある。
秩父札所三十二番 般若山・法性寺を動画でご覧ください。
「般若山・法性寺の御朱印」
「般若山(はんにゃさん)・法性寺(ほうしょうじ)」
宗派/曹洞宗 本尊/聖観世音菩薩
昔々、武州豊島郡からこの地に豊島権守の娘が嫁にやってきた。その娘が実家に帰るため「さいが淵」を通りかかった時、突然、悪魚に襲われてしまい溺れそうになった。すると、どこからか一艘の舟が近づいてきた。その舟には笠をかぶった女性が一人乗っており、溺れかけていた娘は幸運にも助かった。この舟を漕いでいた女性こそ、法性寺本尊の化身だった。それを知った父権守は大変感謝し、三日三夜般若心経を写し続け、この寺の観音様を供養し深く帰依した。本尊の「聖観世音菩薩」は、冠の上に笠をかぶり舟を漕いでいるという、非常に珍しい観音像である。奥の院参拝には、観音堂より巨大な岩が洞門のようになっているところをくぐり、所々鎖がぶら下がっている岩場の山道を30分〜40分登ると岩盤の尾根に着く、ここに「大日如来」と「岩船観音」が祀られている。
撮影日: 2022年6月1日
住所:埼玉県秩父郡小鹿野町般若2661