「日本百観音結願所」
この札所は、秩父34霊場、日本百観音霊場(西国・坂東・秩父)の結願寺として、巡礼者が打ち留めの札と笈摺を納める寺である。参道入口には「秩父三十四番札所」と「日本百観音結願所」の石標が立っている。
「参道に並ぶ三十三観音」
参道に並ぶ三十三観音の石仏が参拝者を迎え、見送る。秩父札所は当初三十三ヶ所(三十三観音)だった。室町時代の末期、秩父札所は一ヶ所増え、江戸時代には秩父三十四ヶ所で定着した。水潜寺は一ヶ所増える前から「水替り観音」と呼ばれ親しまれていた。
「本堂(観音堂)」
本堂(観音堂)は、大きな唐破風向拝をつけた六間四面の方形造りで、文政11年(1828年)の建築である。室町時代の作と伝えられる本尊「千手観世音菩薩」が安置されている。
「本堂(観音堂)外陣」
内陣・外陣の境には格子戸を以て仕切り、その上部欄間に飛天像などの極彩色彫刻を施し、格天井には、花鳥が描かれている。外陣奥には、銅造の子育て観音像が安置され、その横には打ち留め笈摺(おいずる)や金剛杖、輪袈裟(わげさ)などが納められている。
「水潜りの岩屋」
本堂(観音堂)の右奥の崖下に、寺名の起こりである「水潜り(みずくぐり)の岩屋」がある。水が滴り落ちている洞窟で、長さが約5メートルある。結願した巡礼者は、体を縮めて暗い岩屋を潜り、巡礼を終えた身を清め、聖なる世界から欲なる世界にかえっていったという。現在は土砂崩れ、崩落などの危険があるので立ち入り禁止となっている。
「水かけ地蔵尊」
水潜り(みずくぐり)の岩屋から「長命水」が湧き出ている。この長命水を柄杓(ひしゃく)で、地蔵尊の頭から三杯かけて、願い事を三度唱えれば、願いがかなうという。
「鑽佛堂・納経所」
三尊の本尊「千手観音」「阿弥陀如来」「薬師如来」の写し像が祀られている。納経所になっており、グッズも授与(販売)している。
「日本百観音結願堂」
西国三十三ヶ所巡り・坂東三十三ヶ所巡り・秩父三十四ヶ所巡りを総合して、日本を代表する百観音巡礼と称している。水潜寺は秩父観音霊場の結願所であると同時に、日本百観音の結願寺でもある。堂の前の「百観音功徳車」を静かに回すことで百観音巡礼の功徳を得ることができるといわれている。
「佛足堂」
堂内には、タイ国から請来した「佛足石」が祀られている。堂の前には丸い小さな石が置いてあり、般若心経の一字を書いて堂内に奉納することができる。
「観音像」
観音像の台座には「慈眼視衆生・福聚海無量(じげんししゅじょう・ふくじゅかいむりょう)」と観音経の一文字が刻まれている。「観音様は優しい思いやりのある眼でこの世に生きているものをすべて平等に見ている。観音様の様な心をもって生きれば海の如く無量に福が集まる」という意味である。
「六地蔵尊」
「地獄」「餓鬼」「畜生」「修羅」「人間」「天」の六道を行脚される地蔵菩薩の姿を、それぞれ六体の尊像に表したものがこの「六地蔵尊」である。
秩父札所三十四番 日沢山・水潜寺を動画でご覧ください。
「日沢山・水潜寺の御朱印」
「日沢山(にったくさん)・水潜寺(すいせんじ)」
宗派/曹洞宗 本尊/千手観世音菩薩
この札所は、秩父三十四霊場、日本百観音霊場(西国・坂東・秩父)の結願寺(けちがんじ)として、巡礼者が打ち留めの札と笈摺(おいずり)を納める寺である。観音堂は、大きな流れ向拝をつけた六間四面の方形造りで、文政11年(1828)の建築である。本尊は、一木造り室町時代の作と伝えられる千手観世音菩薩である。西国をかたどる西方浄土の阿弥陀如来、坂東をかたどる東方瑠璃光世界の薬師如来が祀られ、日本百観音結願寺の特殊性を出している。ここの水潜寺で、秩父札所三十四ヵ所の巡礼も、ひとまず完了を迎える。数々の難所を歩きつくし、すべての札所を巡礼した経験は、必ずや巡礼者各自の心の糧となり、より良い方向へ導いてくれることだろう。
「水潜寺の結願証」
撮影日: 2022年06月2日
住所:埼玉県秩父郡皆野町下日野沢3522