錫杖寺(しゃくじょうじ)の除夜の鐘は、整理券を貰えば誰でも撞くことができる。午後11時より整理券が配布される。この整理券を求める長蛇の列ができていた。
除夜の鐘の直前に、副住職による「一字書」の揮毫(きごう)が披露され、「慈」を見事に書き上げた。「慈(じ)」は、仏教用語で「友」「親しきもの」「母のこと」を意味する。
除夜の鐘は、最初に住職が撞く。錫杖寺の梵鐘は、地元川口市で鋳造された「銅鐘」である。現在、鐘楼に吊されている銅鐘には、「昭和57年12月吉日」と刻銘されている。それまでは、寛永18年(1641年)に川口の鋳物師が鋳造した、県内最古の銅鐘が吊されていた。この銅鐘は、埼玉県の有形文化財・工芸品の指定を受け、川口市立文化財センターに保管されている。
整理券を貰った人は、順番に除夜の鐘を撞くことができる。108番までの人には「お守り」が授与される。
除夜の鐘が撞かれ、新年を迎えると一斉に初詣が開始される。
境内「地蔵堂」では、新年を迎え、元朝祈願大護摩供・開運福だるま御修行が行われた。
「錫杖寺(しゃくじょうじ)」は、真言宗智山派の寺院である。山号は「宝珠山」。本尊は「地蔵菩薩」である。養老元年(717年)に「行基(ぎょうき=奈良時代の日本の僧)」が本堂を建立、自ら地蔵菩薩像を刻み本尊として祀ったのが始まりとされている。
境内には、天神社(写真左)、武州川口七福神(写真右)が鎮座している。天神社は、天満宮を示す、つまり「菅原道真公」を祀っている。錫杖寺の武州川口七福神には「福禄寿」が安置されている。
境内には、「十三仏」が鎮座している。仏教では十三仏が成立して、人々の救済にあたると考えられている。
錫杖寺の参道脇に「御成街道」の石碑がある。日光御成街道は、本郷追分(東京都文京区)から、幸手宿(埼玉県幸手市)の手前で日光街道に(約48Km)合流する街道である。昔、岩淵宿(現、赤羽岩淵)を出た将軍一行は、荒川を渡り、川口宿の御膳所である「錫杖寺」に入り、昼食をとったとされている。
鋳物の町川口市の除夜の鐘!!
「錫杖寺(しゃくじょうじ)」の鐘楼には、地元川口市で鋳造した立派な「銅鐘」が吊されている。この銅鐘が鳴り響く除夜の鐘とともに新しい年を迎えた。現在の鐘楼は、昭和59年(1984年)に移築されたもので、吊されている銅鐘には「昭和五十七年十二月吉日」と刻銘されている。それまでは、川口の鋳物師「長瀬治兵衛守久」が寛永18年(1641年)に鋳造した銅鐘が吊されていた。これは、現存する県内最古の川口鋳物作品として、埼玉県の有形文化財・工芸品に指定されている。川口市文化財センターに保管されていて、常時公開はされていない。
「宝珠山・錫杖寺」のある川口市は、埼玉県南東部の荒川北岸にある人口約60万7千人の市である。江戸時代に農閑期の副業として始まった鋳物工業が全国有数の鋳物の街となった。近年街の都市化が進み、駅前に点在していた鋳物工場の多くは工業団地へ移った。昭和39年(1964年)の東京オリンピックの聖火台は川口の鋳物工場で作られた。女優の「吉永小百合」をヒットさせた映画「キューポラのある街(1962年公開)」の舞台ともなった。
撮影日: 2019年12月31日
撮影場所:錫杖寺
住所:埼玉県川口市本町2−4−37