「節分祭」定刻になると赤鬼、青鬼の面をつけた二人の者が参道から社殿と豆まき特設舞台に向かって入ってくる。二人とも白装束で右手には金棒を持っている。
「福は内、鬼は内、悪魔は外」と叫びながら、特設舞台から福豆を参拝者にぶつける。「鬼鎮神社」では「鬼」が神の使者であり、参拝者の悪魔を追い払うとされている。
年男や鬼から投げられるのは福豆だけではなく、ミカンや小餅、菓子、紙袋に入れた福銭などを子供達に投げられた。
豆まきが終わると、社務所にて赤鬼、青鬼が金棒を持った絵馬が配られる。この絵馬を家の戸口に掛けると、魔除け・盗難除けのご利益があるとされ人気がある。
豆まきが終わると、赤鬼、青鬼は参拝客と記念撮影や子供と一緒に遊んでくれる。鬼が怖くて泣き出す子供もいる。
「鬼鎮神社」は鎌倉時代の畠山重忠公の居城である菅谷館(菅谷城)の鬼門である北東に位置し、鬼門封じとして建立された。向拝上部には、赤鬼、青鬼が描かれた板絵が掲げられている。
地獄の拷問具「鬼の金棒」が神社に並んでいるのは奇妙な風景である。「鬼に金棒」ということわざもある。強い者が何かを得て、さらに強くなることのたとえを言う。
「鬼鎮神社」内陣には、江戸末期に奉納されたとされる赤鬼、青鬼が描かれた板絵が掲げられている。神社の宝物とされている。
本殿には「鬼」の形をした置物が沢山奉納されている。鬼は、日本の妖怪で民話や郷土神話によく登場する。イメージから「強い」「悪い」から「善」や「神」まで多様な現れ方をする。
鬼鎮神社には、鬼に金棒お守りや赤鬼、青鬼が刺繍されている可愛いお守りもある。鬼のことわざは、「鬼に金棒」とか「鬼のいぬ間に洗濯」などと、日常生活でも使われる。子だもの遊びに「鬼ごっこ」というポピュラーな遊びもある。
赤鬼、青鬼が豆まき??
「鬼鎮神社(きじんじんじゃ)」は全国でも珍しい「鬼」を祀った神社。節分際には「福は内、鬼は内、悪魔外」といい、年男と一緒に赤鬼、青鬼も福豆やミカン、団子、お菓子などを大量に撒いた。埼玉県比企郡嵐山町に、畠山重忠(はたけやま しげただ)が造営された菅谷館(菅谷城)があった。「鬼鎮神社(きじんじんじゃ)」は、その鬼門除けの守護神として、鎌倉街道に沿って建立された。節分祭で有名な神社で、「鬼」を神様として祀っている珍しい神社でもある。日本全国でも「鬼」を祀っている神社は4社しかない。福岡県添田町、大分県大分市、青森県弘前市の「鬼神社」と嵐山町の「鬼鎮神社」である。節分は、季節の始まりの日(立春、立夏、立秋、立冬)の前日のことで、「季節を分ける」ことも意味している。季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられており、それを追い払うための悪霊ばらい行事が節分祭である。一般的には、年男が「鬼は外、福は内」と声を出しながら福豆を撒いて、邪気(鬼)除けを行う。ところが、「鬼鎮神社」では「福は内、鬼は内、悪魔外」と連呼しながら、赤鬼、青鬼が年男と一緒に福豆や団子、ミカンなどを大量に撒く、珍しい節分祭である。
「鬼鎮神社」のある嵐山町は、埼玉県中部に位置する人口約1万8千人の町である。江戸時代には江戸と上州を結ぶ川越児玉往還の「菅谷宿」として栄えた。昭和3年(1928年)頃に、現在の嵐山渓谷周辺が京都の嵐山の風景によく似ていると「本多静六」により武蔵嵐山と命名され評判になり、多くの観光客が訪れるようになった。
撮影日: 2018年2月3日
撮影場所:鬼鎮神社
住所:埼玉県比企郡嵐山町川島1898