その年の天候を占う「弓取式」は、各地区の氏子の長男で1歳から6歳ぐらいまでの「弓取子(ゆみとりっこ)」が選ばれるが、少子化の影響で、子供の代役として5人の「氏子総代」が正座して、矢を射る。
白い部分に多く当たれば「晴れ」の日が多い年で、黒い部分に多く当たれば「雨」の日が多い年になる。その年の「五穀豊穣」を祈る予祝行事である。
午前9時30分、年番町、宮司、氏子総代、弓取子と親の順番に、弓取式神社境内に参列して行進が始まった。
「下老袋 氷川神社」鎮守の4地区が協力し、甘酒2樽と豆腐田楽3樽を準備、参列して行進に加わった。
豆腐田楽3樽は、頭の上に載せ参列して行進。甘酒と豆腐田楽の作り込みは、下老袋3地区と東本宿地区が年番で引き継いでいる。
豆腐田楽と甘酒が神社に奉納され、各地区の氏子代表と供にお祓いを受ける。
「老袋の弓取式」は、甘酒まつりとも言われ、式が終わると甘酒と豆腐田楽が参拝者に振る舞われる。
「下老袋 氷川神社」の「老袋の弓取式」は、300年前から伝わると言われている。田園風景に囲まれた静かな境内で行われる素朴な行事である。
境内には、砲弾が奉納されている。台座には「祈武運長久郷出征兵士」と銘文されている。
「下老袋 氷川神社」の末社「稲荷神社」祭事の時に扉を開けてお供えをする。神社境内、本殿脇に鎮座している。
その年の天候がピタリと当たる!?
川越市の「下老袋 氷川神社」で、その年の天候を占う伝統行事「老袋の弓取式(おいぶくろのゆみとりしき)」が行われた。直径約90センチメートルの的に向かって、3本ずつ3回矢を射る。1回目は春、2回目は夏、3回目は秋(冬は農作物がないので冬の矢はない)の矢である。的の白い部分と黒い部分に当たった矢の本数を数え、白い部分に多く当たればその年は「晴天」が多く、黒い部分に多く当てれば「雨」が多い年と判断される。毎年2月11日にその年の天候を占い、五穀豊穣を祈る予祝行事として行われている。全ての矢を射る終わると、地元の人たちが矢や的を奪い合い、矢を持ち帰ると、子供が丈夫に育つと云われている。そして、境内では、参拝者に甘酒と豆腐田楽が振る舞われ、これを食べると1年間健康に過ごせると云われている。
「老袋の弓取式」が行われた川越市は、埼玉県南西部に位置する人口約35万3千人の市である。江戸時代には、川越藩の城下町として栄えた都市で、「小江戸」の別名を持っている。「下老袋 氷川神社」は、川越市老袋地区の下老袋に鎮座し、祭神(祀られている神様)は「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」である。この氷川神社は一名「軍明神」とも呼ばれ、戦時中は軍人や出征兵士の参拝が多かったと云われている。
撮影日: 2020年2月11日
撮影場所:下老袋 氷川神社
住所:埼玉県川越市下老袋732