「染谷花しょうぶ園」は、植木などが生育不良の低湿地を改良して昭和58年(1981)に開園した。
花菖蒲は江戸時代より、各地に自生するアヤメ科の野花菖蒲を改良してきた。これは日本が世界に誇れる伝統園芸植物である。
6月の梅雨時、園内にはアジサイも咲いていて季節の調和がとれている。
5月5日の端午の節句の日に“菖蒲湯”に入れる菖蒲の葉に似ていて、美しい花が咲くことから「花菖蒲(はなしょうぶ)」になった。
花菖蒲の花の色は、白、桃、紫、青、黄など絞りや覆輪(ふくりん)などとの組み合わせを含めると5,000種類あると言われている。
花菖蒲の花弁の根元には、はっきりした黄色の模様があるのが特徴である。
園内中央のあずま屋では、花菖蒲を身近に見ながらお茶や団子を食べていた。まさに“花より団子”である。
よく開催される「アヤメ祭り」の”アヤメ”とは、この花菖蒲のことを指すことが多い。昔の人が花菖蒲とアヤメを間違えて、祭りの名前にしてしまったらしい。
園内のあずま屋、八つ橋などの施設は、全て木材や竹などが用いられ、鉄やコンクリートなどの鉱物質の材質は使用していない。
茶室「紫染庵」
福島県会津藩、23万石の松平家殿様が使用した茶室を園内に復元したものである。
年に一度の花しょうぶの畑が出現!!
「染谷花しょうぶ園」は、毎年6月の1ヶ月間だけ開園する。残りの11ヶ月間は、翌年の6月に綺麗な花菖蒲を観て貰うための、手入れ期間に入る。まさに花菖蒲専用の植物園である。花菖蒲は、葉が菖蒲に似ていて、美しい花を咲かせることに由来している。花菖蒲は、アヤメ科の植物で原産国は日本である。香りのない大輪の花を咲かせる。対する菖蒲は、サトイモ科の植物で、茶色の花を咲かせる。端午の節句(5月5日)の菖蒲湯に使われ、強い香りがある。「菖蒲」は「ショウブ」とも「アヤメ」とも読む。どちらもアヤメ科に属していて、見た目もそっくりである。花菖蒲の花弁の根元には、はっきりした黄色の模様があるのが特徴である。一方アヤメの花弁の根元には、網目状の模様があるのが特徴である。網目(あみめ)がアヤメになったと云う説もある。「花菖蒲(はなしょうぶ)」「菖蒲(あやめ)」の他に、似た花で「杜若(かきつばた)」がある。「何れ菖蒲か杜若(いずれしょうぶかかきつばた)」といわれ「どちらも似ていて優れており、優劣がつけづらいことを意味する」ことわざがあるほど混同される花である。
「染谷花しょうぶ園」のある、さいたま市見沼区は、埼玉県さいたま市を構成する10区のうちの一つである。区名の由来でもある「見沼」は、区の西部・東部および南部の低地に広がっている大きな沼地であった。この土地の利用法を腐心したあげく「花菖蒲(はなしょうぶ)」の栽培をおもいついた。花菖蒲の美しさを多くの人に観賞して貰おうと池や八つ橋、あずま屋などを整えて昭和58年(1981)に本格的な「花しょうぶ園」を完成させた。現在約8,000㎡の敷地に300種以上約20,000株の花菖蒲が咲き誇っている。
撮影日: 2017年6月11日
撮影場所:染谷花しょうぶ園
住所:埼玉県さいたま市見沼区2-248