「桃源郷」と称される東秩父村の大内沢地域の「花桃の郷」は、鮮やかなピンクの花桃が一面に広がり、春の訪れを告げる。
「花桃」は、花を観賞するために品種改良された「桃」である。枝に沿ってびっしりと花を付ける。樹高は8メートルに達するが、この花桃は高さを抑えながら植樹している。樹形には立性、枝垂れ、ほうき立ちがある。
花桃は、薔薇(ばら)科サクラ属の植物である。「花桃」は3月末〜4月中旬の開花で、花を観賞する目的の園芸種である。3月3日の「桃の節句(ひなまつり)」に雛人形のとなりに桃の花を添えるが、この時季には開花していない。温室で育てた桃である。旧暦の3月3日は、現在の4月に当たるので咲き誇っていた。
「大内山・展望台」より大内沢地域を一望できる。「花桃の郷」には、花桃のほかに、レンギョウやサクラなどの春の花木が約5,000本が植えられている。
花桃は、中国原産で渡来は古く弥生時代といわれている。日本で観賞花木として改良栽培されるようになったのは江戸時代である。実のなるモモよりも花が美しく開花時期が梅と桜の間になり、花は八重咲きである。桃の花から「桃色(ももいろ・ピンク)」という色名が生まれた。
白木蓮(ハクモクレン)は、花桃の時期には花びらが崩れ始める。白木蓮の花は、花びらの幅が広く、厚みがある。花は上向きに閉じたように咲く。花先は北側を指す。このことから「磁石の木」と呼ばれることもある。
「花桃の郷」には、菜の花やスイセンなどの草花も植えられ、花桃とのコラボが楽しめる。
大内沢の「諏訪神社」は、長野県の諏訪湖近くの「諏訪大社」を総本社とする神社である。中世には狩猟神事を執り行っていたことから、狩猟、漁業を守護する神社として信仰されている。
大内沢の「大通領神社」は、花桃の郷の中央付近に鎮座している。神社の詳細は不明であるが、「社(やしろ=神社)」が二棟並んでいる。
大内沢の「御嶽大神」は、御嶽神社と思われるが、神を祀っている「社(やしろ=神社)」がなく、石碑が並んでいる。
大内沢 花桃の郷を動画でご覧ください。
桃色が山郷全体を彩る!!
豊かな自然が残された埼玉県唯一の村「東秩父村」荒廃した農地を活用し地域住民が景観形成のために始めたもので、花桃を中心にサクラやレンギョウなど約5000本の花木が植栽されている。例年3月の最終日曜日に「花まつり」が開催される。花まつりでは、美しい花桃の観賞に合わせて、和太鼓や雅楽の演奏などが行われ、地域の特産物の販売もあり、大勢の見学者で賑わう。
「大内沢 花桃の郷」のある「東秩父村(ひがしちちぶむら)」は、埼玉県の西部に位置し、人口約2,600人で、秩父郡に属する埼玉県唯一の「村」である。村の8割が山林で季節ごとに様々なは花々が咲き誇る自然豊かな花の郷である。古くから「和紙の里」として知られ、隣接する小川町と共に「細川紙」の産地である。
撮影日: 2022年3月28日
撮影場所:大内沢 花桃の郷
住所:埼玉県秩父郡東秩父村大内沢1118-1付近